水資源セミナーの報告
Report of the Water Resources Seminar
持続可能な水資源開発と水環境保全のための物質循環の解明
- 担当 : 城戸由能
- 日時 : 平成16年11月26日 13:30〜17:30
- 会場 : ぱるるプラザ京都
- 概要
平成16年度水資源セミナーは,防災研究所・一般研究集会(16K-12)として平成16年11月26日,ぱるるプラザ京都にて開催されました.当日のプログラムは下記の通りです.
本セミナーの目的は,水資源の持続可能な開発と水環境の保全を両立させるために必要となる,水循環モデルに対応する長期間スケールの物質循環モデルの構築を目指し,降水から河川水・地下水にわたる水循環経路に沿って,物質循環の物理・化学的特性について議論すること.特に、物質循環の解明をめざした小スケールの河川流域空間と都市部を含む大型河川流域を対象とした観測と解析事例についての報告を中心に行い、モデルや対象物質等の特性についての検討と、時空間スケールの選定や利用するモデルの適性についても議論することであり,6題の講演と討議を通して,以下のような成果を得られた.
@大河川流域から市街地内部での流出観測を通して,湖沼等の水源地や水道水源となる表流水へ流入する汚濁物質の特定およびその流出機構を解明するとともに,汚濁物質の発生・供給源となる路面排水や住宅屋根面,大気降下物等の定量的な調査を通して,水資源開発と水環境保全を目的とした総合的な汚濁物質削減対策の評価を行うための,調査・観測方法,解析方法や評価技法に関する最近の研究成果が報告された.
A集会における討議を通して,大気からの栄養塩類等の供給については,未解明な部分が多く,その空間的性も高いため,これまで主に観測が進められてきた自然地域のみならず都市域での降下物観測が重要であることが認識された.
Bまた,特に都市部地表面からの懸濁態・溶存態の流出汚濁負荷を正確に把握するためには降雨初期の非常に短時間の流出現象を観測する必要性が高く,そのための方法論についての情報交換がなされた.
C総合的な水資源・水環境管理のためには,受水域から河川源流さらには大気までさかのぼった汚濁負荷の発生・供給−流出・流入過程を解明し,多様な段階での対策を検討することの重要性を認識した.
- プログラム
13:30:開会挨拶(水資源研究センター・センター長:池淵周一)
13:40:開催趣旨およびセンターでの関連研究プロジェクトの説明(水資源研究センター:城戸由能)
13:50:駒井幸雄(兵庫県立健康環境科学研究センタ−):大気からの栄養塩類の降下量
14:20:橘 治国(北海道大学大学院工学研究科):自然河川流域での流出負荷と水環境保全
14:50:和田桂子(琵琶湖・淀川水質保全機構):路面排水中の難分解性溶存有機物の挙動特性と削減
15:20〜15:40:休憩
15:40:城戸由能(京都大学防災研究所):住宅地からの汚濁物質の流出特性と削減対策
16:10:井手慎司(滋賀県立大学環境科学部):琵琶湖北湖における難分解性溶存有機物の発生源の推定
16:40:福島武彦(筑波大学大学院):水環境保全のための湖沼管理
17:10〜17:25:総合討議
17:25:閉会挨拶(水資源研究センター・教授:中北英一)
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